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磨礪(まれい)はまさに百錬の金の如くすべし、
急就(きゅうしゅう)は邃養(すいよう)にあらず

ー磨礪当如百錬之金、急就者非邃養ー     菜根譚
(菜根譚:明の洪自誠編。前集222条では人との交わり、事治、対応の道を説き、
後集135条では退静閑居の楽しみを論じている)

 

{原文}
磨蠣当如百煉之金、
急就者非邃養。

施為宜似千鈞之弩、
軽発者無宏功。

 

{書き下し文}
磨蠣(まれい)は当(まさ)に百煉(ひゃくれん)の金(きん)の如くすべし、
急就(きゅうしゅう)は邃養(すいよう)に非(あら)ず。
施為(しい)は宜(よろ)しく千鈞(せんきん)の弩(ど)の似(ごと)く、
軽発(けいはつ)は宏功(こうこう)無し。

逎ィ驥・min

 

{意解}
自分自身を磨き上げるには、
繰り返して練り鍛える金属のようにすべきで、

簡単(インスタント)に行う修養であってはいけない。
起業する場合は、 強靭な弓を放つ時のように慎重にすべきで、
軽薄な起業では成功はしない。

つまり、 何事にも成果を出すには、
慎重且つ堅実に行えということである。

*磨礪(まれい)  刃物などをとぎみがくこと。転じて、学問や技芸などにはげむこと。
*百錬(ひゃくれん)  何度も繰り返しきたえていっそうよくすること。

*急就(きゅうしゅう)  にわか作り、間に合わせに急いで作ること。
*邃養(すいよう)  ふかい修養。
* 施為(しい)  行為。起業。
*千鈞(せんきん)  きわめて価値の高いこと。
*弩(ど)  おお弓。
*軽発(けいはつ)  軽はずみな。
*宏功(こうこう)  成功。成功する。  

 わかりやすい例は技術の習得であろう。
若い弟子のほうは素人目にもそれとわかる未熟さが見えるが、
師匠、先生と呼ばれている人物の仕事ぶりは、
その手順といい動きといい、迷いがなく、 寸分のムダもなかった。
さすがに年季の入った職人はちがうと、 改めて感じさせられる。  

 ましてや技術ではなく、 「人間」を鍛えるとなれば、
格段の難しさがあるに違いない。
十年、二十年どころか、 おそらく一生の仕事になるだろう。
しかし、 それをやった人間とやらなかった人間の違いは、
おのずから風格に現れてくる。
顔ひとつとってみても、 それをやった人間は「いい顔」になってくるし、
やらなかった人間は「ふやけた顔」になってしまう。

 人の体は正直なものであると、 恐ろしくも感じる。
鏡を見て自分を確認し・・・戒めることも必要だろう。

 

中国古典一日一言 (PHP文庫 モ 1-4)

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