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苛政(かせい)は虎(とら)よりも猛(たけ)し

ー苛政猛於虎ー   礼記
(礼記:四十四篇。周末秦漢時代の礼に関する理論及び実際を記録編集したもの。
前漢の戴聖によって伝えられた。「小戴礼」又は「戴記」といわれる。五経の一つ)

 

苛政(人民に対する厳しい政治)の人民への害は、 虎の害よりはなはだしい。 悪政、失政を省みる時に 使われる一文である。

 

{原文}  
孔子過泰山側。
有婦人哭於墓者而哀。

夫子式而聽之、 使子路問之曰、
子之哭也、壹似重有憂者。
而曰、然。 昔者吾舅死於虎、
吾夫又死焉、今吾子又死焉。
夫子曰、何爲不去也。曰、無苛政。
夫子曰、小子識之、 苛政猛於虎也。

 

{書き下し文}   
孔子泰山(たいざん)の側(かたわら)を過(す)ぐ。
婦人墓(はか)に哭(こく)する者有(あ)りて哀(かな)しげなり。
夫子(ふうし)式(しょく)して之(これ)を聴(き)き、
子路をして之に問(と)わしめて曰(いわ)く、 子(し)の哭するや、
壱(いつ)に重(かさ)ねて憂(うれ)い有る者に似(に)たり、と。
而(すなわ)ち曰く、然(しか)り。
昔者(むかし)吾が舅(しゅうと)虎(とら)に死し、
吾が夫(おっと)又(また)死し、 今吾が子又(また)死せり、と。
夫子曰く、何為(なんす)ぞ去(さ)らざるや、と。
曰く、苛政(かせい)無ければなり、と。
夫子曰く、小子(しょうし)之(これ)を識(しる)せ、
苛政は虎(とら)よりも猛(もう)なり、と。

 

苛政

 

 

{意解}
孔子が弟子たちとともに泰山の近くを通りかかると、

墓の側でさめざめと泣いている婦人がいた。
孔子は密かにその泣き声に耳を傾けていたが、
弟子の子貢(子路)を使わせて婦人にわけを尋ねさせた。
「なんとも悲しげな声で泣いているが、いったいどうしたというのか」と。
婦人は、 「私の舅は昔、虎に殺された、夫も虎に殺され、
今回は息子も虎に殺されました」 と答えました。
孔子が婦人に、 「どうしてここを離れないですか」 と訊くと、
婦人が 「この地域は重税がないから」 と答えた。
これを聞き、孔子は弟子達に向かって
「よく覚えておきなさい。重税と痛みを国民に押しつける悪政は
虎より酷いものだ。」と。  

悪い政治(重税や厳しい刑罰をおこなう政治)は
人を食う虎よりも恐ろしいということである。

私たちは、日々、何をするにしても 大なり小なり、
決断(選択)をしている。 その折々に、思い出し、
より良い選択(決断)ができるように
貴方も私も、ありたいですね。

 

中国古典一日一言 (PHP文庫 モ 1-4)

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