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まさにおおいにすあらんとするきみは、かならさざるところしんあり

ー将大有為之君、必有所不召之臣ー  孟子 公孫丑章句下

【孟子(もうし):七編。戦国中期の儒家孟軻(もうか)の言行や学説を編集したもの。
性善説や王道論は有名。四書の一つ】

原文:
將大有爲之君、必有所不召之臣
欲有謀焉則就之。
其尊德樂道、不如是不足以有爲也。
故湯之於伊尹、學焉而後臣之、故不勞而王。
桓公之於管仲、學焉而後臣之、故不勞而霸。
今天下地醜德齊、莫能相尚。無他,
好臣其所敎,而不好臣其所受敎。
湯之於伊尹,桓公之於管仲,則不敢召;
管仲且猶不可召,而況不爲管仲者乎

書き下し文:
まさにおおいにすあらんとするきみは、かならさざるところしんあり。
はかるらんとほつせば、すなはこれく。
とくたつとみちたのしむことかくごとくならずんば、ともにあるらざるなり。
ゆえたう伊尹いいんける、まなびてしかしてのちこれしんとす。ゆえらうせずしておうたり。
桓公かんこう管仲かんちゅうける、まなびてしかしてのちこれしんとす。ゆえろうせずしてたり。
いま天下てんかたぐいとくひとし、よくあいくはふなきは、なし、
おしえところしんとするをこのみ、しかしてをしへうくところしんとするをこのまざればなり。
とう伊尹いいんける、桓公かんこう管仲かんちゅうける、すなはあへさず。
管仲かんちゅうすらからず、しかるをいはん管仲かんちゅうさざるものをや。

*伊尹(いいん) :夏末期から殷 (商) 初期にかけての政治家。
*湯(とう):殷の湯王。

 

意解:
「将来、大事業を成し遂げようとする君主には、必ず呼びつけにできない臣下がいる」

過去の例を見ても、然りである。例えば、
いんの名相伊尹いいんは、殷の湯王とうおうを助けて夏の桀王けつおうを討ち、殷王朝建設に尽力。
湯王はこれをたっとんで阿衡あこう(摂政・関白の異称)と称した。
春秋時代に最初の覇者となった桓公には、管仲という名補佐役がついていた。
桓公は臣下の管仲を「仲父ちゅうほ」と敬って教えを受けたという。

また、「三国志」の劉備も、「三顧の礼」をはらって諸葛孔明を軍師に迎え、以後、
作戦計画の立案策定は挙げて公明に委ねている。

だが、並のトップにはこれができない。「孟子」も、こう言って嘆いている。
「今、各国の王はいずれもどんぐりの背比べで、傑出した者がいない。
それというのも、自分以下の人間だけを臣下にしたがり、
自分より優れた人物を臣下にしたがらないからだ」

呼びつけにできる臣下にばかり取り囲まれていたのでは、
大きな仕事などできないばかりか、
人間的な堕落まで招きかねない。

 

*「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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