第四章
衆心は城を成し、衆口は金を鑠かす
ー衆心成城、衆口鑠金ー 国語 周語
(国語:二十一巻。魯の左丘明の撰と伝えられている。
春秋時代の列国の事蹟を国別に編んだもの。)
{原文}
衆心成城、
衆口鑠金。
{書き下し文}
衆心は城を成し、
衆口は金を鑠かす。
{意解}
大勢の人間が心を合わせれば、城も築けるような大きな力を発揮する。大勢の人間が口を合わせれば、金をも溶かすような恐るべき力となる。
前者は良い意味で使われるが、後者の「衆口」は、人の噂や非難中傷のたぐいで、
多くの人の言葉、特に悪口が重なると、恐るべき結果を招く、恐ろしいといったニュアンスで使われる。
この「衆心成城、衆口鑠金」という言葉は二千数百年前から諺のように使われていたらしいが、現代でも、そのままの形で使われている。珍しい例といっても良いが、それだけ この言葉の語っている内容が時代を超えた普遍性を持っているということであろう。
「衆心成城」、これは良い。問題は「衆口鑠金」のほうだ。日本でも「人の噂に戸は立てられない(讒言)」という。非難中傷にしても、ちゃんとした事実に基づいたものなら
致し方ないが、根拠のないものも多いことも確かである。しかし、それで一生を狂わされたりする例もあるから、甚だ迷惑である。
史記 楽毅伝に「君子は交わり絶ちても悪声を出ださず」がある。何らかの理由で交友関係を絶つことになっても、その人への非難・誹謗めいたことは口にしない事が、君子の交わりだと言っている。「悪口雑言」は相手・自分・聞いた人に不快感を与え、マイナスにしかならないのである。
*讒言:事実を曲げたり、ありもしない事柄を作り上げたりして、
その人のことを悪く言うこと
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。