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智者も千慮に必ず一失あり、愚者も千慮に必ず一得あり|中国古典 名言に学ぶ

第二章 智者ちしゃも千慮せんりょに必かならず一失いつしつあり、愚者ぐしゃも千慮せんりょに必かならず一得いつとくあり ー智者千慮必有一失、愚者千慮必有一得ー   史記 淮陰侯伝 (史記:百三十巻。前漢の司馬遷が撰した、中国最初の通史です。 上古の黄帝から、漢の武帝までの歴史を紀伝体で記しています。) {原文} 智者千慮必有一失、 愚者千慮必有一得。 {書き下し文} 智者も千慮に必ず一失あり、 愚者も千慮に必ず一得あり。 {意解} 智者といえども、千回に一回は失敗があるので 完璧とは言えない。 愚者といえども、希まれにうまくできることがあるので、 すてたものでもない。 という一文。   項羽こううと劉邦りゅうほうで有名な楚漢戦争そかんせんそうで、 劉邦側の将軍、韓信かんしんは楚の項羽側についていた 趙国の成安君(陳余ちんよ)を討伐に向かった。陳余には有名な策士、李左車りさしゃがいたが、彼の策(民衆を避難させ、陣を固め、李左車自ら兵を率いて韓信軍の補給路を断つ) を取らず、結局趙軍は破れ陳余は戦死した。  韓信はその後、李左車を捕まえ自分の師として接して、 隣国の燕と斉をどう平定するか問いた。その折、李左車は 「智者千慮必有一失、愚者千慮必有一得」 と謙遜けんそんの言葉を使った後、 彼の考えた策を述べた。 わが漢軍は長期の行軍に疲れきっている折りに、更に燕や斉を攻めるのは無理があり、 しばらくこの趙国に留まり、趙国の民心を十分に安定させ、 且つ戦力の乏しい燕国に降伏を説き、後に斉国平定に向かっても遅くはないと進言。 ここで李左車は 韓信のすぐに燕・斉の平定に向かう策を「智者千慮」中の一失(智者の千回に一回のミス)とし、自分の策を「愚者千慮」中の一得(愚者の千回に一回のマグレ) と表した。韓信も謙虚にこの李左車の策を取り入れ、 事は成っている。    この諺ことわざは「智者の一失」を笑うのではなく 「愚者の一得」に重きをおいている。   智者はいつでもどんな時でも完璧たりえるわけではないし、どんな人の意見にも必ず耳を貸す点がある。「他を軽んじる思い込みは、 自他共に良い結果にはならない。」 と言っているのである。 莊子 秋水に「井蛙は以て海を語るべからず」がある。己の固定概念から脱却し、 謙虚に自己を見つめ、謙虚に教えを請う心になる事が、自己を高める方法だと言っている。常に謙虚であることを心がけたいものである。 *参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、 自分なりに追記や解釈して掲載しています。 私たちは、日々、何をするにしても 大なり小なり、決断(選択)をしている その折々に思い出し、 より善い選択(決断)ができるように 貴方も私も 在りたいですね。

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