第六章 成功の心得
千丈の堤も螻蟻の穴を以って潰ゆ
ー千丈之堤以螻蟻之穴潰ー 韓非子 喻老
{韓非子:二十五巻五十五篇。戦国時代の韓非の撰。
先秦時代の法家の学を集大成し、それに韓非の考えを加えたもの。はじめ「韓子」と称したが、宋以後、唐の韓愈と区別するため「非」の字を加えたもの。}
{原文}
千丈之堤、
以螻蟻之穴潰。
百尺之室、
以突隙之煙焚。
{書き下し文}
千丈の堤も、
螻蟻の穴を以て潰ゆ。
百尺の室も、
突隙の煙から焚く。
{意解}
難事はたやすい時機から、千丈の堤もアリの一穴からつぶれ、
百尺もある部屋も煙突の隙間の煙から灰になる」の意味になる。
「千丈」とは高いことの形容。そんな堂々たる堤防も、
螻や蟻の掘った小さな穴から崩れてしまう。ゆえに、
どんな些細なことでも見逃さず、早め早めに手を打ち(早期対応)、
禍を未然に防がなければならない。そんな心構えがなければ、
とうてい大きな仕事を成し遂げることはできないのだという。
「老子」も言っている
「如何なる難事も容易なことから生じ、如何なる大事も些細なことから始まる」と。
些細なことだとつい油断して対策を怠れば、やがてそれが大事件となって、
取り返しのつかない事態を招く、と云っている。
「韓非子」は、医者の治療にたとえて、
「良医というのは初期のうちに病気を発見して治してしまう。
之は病気だけではなく、全ての事にあてはまる。故に、聖人は、
物事を処理する際、早め早めに手を打つのである」と云う。
説苑 卷一六 談叢にも
「福は微なるより生じ、禍は忽にするより生ず」とある。
成功は細事をおざなりにしないことから生まれ、
失敗は細事をおざなりにすることから生まれる。
日夜気を引き締めて、何もしないで終わることを恐れなさい。と云う。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。