泰山は土壌を譲らず、故によくその大を成す|史記 李斯伝 第二十七

第八章 リーダーの心得
泰山は土壌を譲らず、故によくその大を成す
ー泰山不譲土壌、故能成其大ー 史記 李斯伝 第二十七
【史記:百三十巻。前漢の司馬遷が撰した、中国最初の通史。上古の黄帝から、漢の武帝までの歴史を紀伝体で記されている】
原文:
泰山不譲土壌、故能成其大。
河海不擇細流、故能成其深。
王者不却衆庶、故能明其徳。
書き下し文:
泰山は土壌を譲らず、故によくその大を成す
河海は細流を択ばず、故に能くその深をなす。
王者は衆庶を却けず、故に能くその徳を明らかにす。

意解:
太山(泰山)はひとかけらの土壌をも譲らないからこそ、
あれだけ大きな山になったのであり、
河海はいかなる細流をも受け容れるからこそ、あれだけ深い流れになったのであり、
王者は衆庶を退けないからこそ、その徳を天下に明らかにすることができる。
「泰山」は標高1545メートルとそれほど高くはないが、奇観に富み、
中国を代表する名山として知られている。
日本で言えば、富士山にあたるかもしれない。
秦の始皇帝がまだ秦王であった頃の話である。
重臣たちの中から「他国出身の人間は信用できないから、追放してしまえ」という
論がもちあがった。このとき、李斯という人物が上書して追放令を撤回させているが、
其の上書の中に、この言葉が使われている。
他国の出身であれ、積極的に人材を受け入れてこそ、
国を強大にすることができるのだという趣旨である。
「政をなすの要は、ただ人を得るに在り」である。
現代でも企業経営においては人種・国籍・性・年齢は問わずに
人材活用する「ダイバーシティ」の企業も増えている。しかし、
接客業務においては日本人の繊細な感受性に、
戸惑っている外国人労働者が見受けられるのも現状である。
貞観政要 崇儒學第二十七に
「政をなすの要は、ただ人を得るに在り」とある。
太宗が名君とされてきた理由は幾つもあるが、その一つは、
人材の誘致に熱心であったことだ。
この人物は能力も在りしっかりしているとみるや、
かつて敵側に属した相手でも要職に抜擢し、
共に力を合わせて国政にあたった。この言葉は、
そういう人物が語っているだけに、説得力がある。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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