書を読みて聖賢を見ざれば、鉛槧の傭たり|菜根譚 前集 56項|

第二章 自己を高める
書を読みて聖賢を見ざれば、鉛槧の傭たり
ー読書不見聖賢、為鉛槧傭ー 菜根譚 前集 56項
【菜根譚:明の洪自誠編。前集222条では人との交わり、事治、対応の道を説き、後集135条では退静閑居の楽しみを論じている】
原文:
読書不見聖賢、為鉛槧傭。
居官不愛子民、為衣冠盗。
講学不尚躬行、為口頭禅。
立業不思種徳、為眼前花。
書き下し文:
書を読みて聖賢を見ざれば、鉛槧の傭たり。
官に居りて子民を愛せざれば、衣冠の盗たり。
学を講じて躬行を尚へざれば、口頭の禅たり。
業を立てて種徳を思わざれば、眼前の花たり。
*聖賢:聖人と賢人。徳がすぐれ、かしこい人
*鉛槧:文筆に携わること
*躬行:みずから実行すること
*尚:たいせつにする。重んずる
*口頭禅:口先だけで説く禅
*種徳:社会貢献

意解:
古人の書物を読んで、字句の解釈だけで聖賢の心に触れなければ、
それは単なる文字の傭われ者にすぎない。
官位につき俸給を貰っていても、国民を愛さなければ、
ただの制服を着た給料泥棒だ。
学問を講じても、実行していなければ、
それは口先だけの知識にすぎない。
事業を起こしても、社会貢献しなければ、
眼前の切り花のように一時の事業で終わってしまう。
どの一文も、身につまされる56項である。
画餅に終わらさず、その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
己に落とし込みたいものですね。
*参考資料:菜根譚 前集 051条から100条
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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