言に匪ずんば言うなかれ、由に匪ずんば語るなかれ|詩経 雅 |

第四章 着実に生きる
言に匪ずんば言うなかれ、由に匪ずんば語るなかれ
ー匪言勿言、匪由勿語ー 詩経 雅 賓之初筵
{詩経:中国最古の詩集。周初から春秋時代中ごろまでの詩を集めている。現存するものは三百五編。五経の一つで、初めは単に「詩」といったが、宋代以後「詩経」と呼ばれるようになった}(「雅」貴族や朝廷の公事・宴席などで奏した音楽の歌詞である)
{原文}
凡此飲酒、或醉或否。
既立之監、或佐之史。
彼醉不臧、不醉反恥。
式勿從謂、無俾大怠。
匪言勿言、匪由勿語。
由醉之言、俾出童羖。
三爵不識、矧敢多又。
{書き下し文}
凡そ此れ飲酒、あるいは醉いあるいは否。
既に之が監(目付け)を立て、あるいは之が史(書記、記録係り)を佐とす。
彼は醉えば臧からず、醉わざれば反って恥とす。
式て從い謂うなかれ、大怠俾るなかれ。
言うべからざるを言う勿れ、由なくして語る勿れ。
醉の言に由るは童羖を出でしめる。
三爵(三杯の杯)で識らず、矧や敢えて多く又せんや。
{口語訳}
凡そ飲酒して、醉うひとと酔わないひとがいる。
だから目付けを立て記録係りの助けを得て、
だれそれは醉えば悪酔いする、
醉わないことを恥とする(など知っておかねばならない。)
だから(そんな人に)従ってものを謂って、大失敗などしないよう(させないよう)。
言うべからざるを言う勿れ、事情理由も知らぬことは語る勿れ。
醉っぱらうと童羖(幼児)に戻ってしまうものだ。
酒三杯で記憶をなくす(こともあるから)、敢えてそれ以上飲まぬこと飲ませぬこと(かな)。

{意解}
「詩経」にある「賓之初筵」と題する詩の一節。
言うべきでないことは言うな、理由のないことはみだりに口にするな、という意味。
酒の席での乱れを戒めた言葉だという。
誰でも、つい調子に乗って、言ってはならないことを口を滑らし、
相手の心を傷つける、そういった体験をしたことがあるに違いない。
そんなケースが最も多く出るのが、酒の席である。
酔に駆られて不用意な一言を吐いたばかりに、喧嘩口論、
果ては刃傷沙汰に及ぶ場合も希ではない。
中国には、「酒後吐真言;酒に酔えば、本音が出る」という俚諺がある。
故に、彼らは酒の席でも極めて慎重で、滅多なことは口にしない。
その点、日本では、少しぐらい口を滑らせても、
「酒の上でのことだから」と大目に見てもらえる。だが、物事には限度がある。
酒の上でも口を慎むのが賢明な処世というものだろう。
礼記 緇衣篇・漢書 劉向伝に「綸言、汗の如し」一度自分の口から出てしまうと、
もはや取り消しができない。
くれぐれも発言を慎重にしなければならないといっている。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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