第四章 着実に生きる
熱鬧の中に一冷眼を着くれば、便ち許多の苦心思を省く
ー熱鬧中着一冷眼、便省許多苦心思ー 菜根譚 後集第五十八項
(菜根譚:明の洪自誠の編。前集222項、人と交わり、事治、変に対応する道を説き、後集135項、退静閑居の楽しみを論じる)
{原文}
熱閙中、着一冷眼、
便省許多苦心思。
冷落処、存一熱心、
便得許多真趣味。
{書き下し文}
熱閙の中に一冷眼を着くれば、
便ち許多の苦心思を省く。
冷落の処に一熱心を存せば、
便ち許多の真の趣味を得る。
{意解}
「熱閙」とは、慌ただしく動き回っている状態。
そういう中にあっても、冷静に辺りを見回すだけの余裕があれば、
随分と心のいらいらを解消することができる。
落ちぶれた状態の時に、物事に情熱を以て対処できたら、
多くの真の物事の持つ意味を理解できる、という。
ちなみに、「許多」は、たくさん、多く、
「苦心思」は、苦しい思い、という意味である。
慌ただしく動き回っていると、どうしても気持ちが上ずってくる。
ミスも出やすく、事故も起こりやすい。それを避けるためには、
常に沈着な判断力を保つ必要がある。体は動き回り、
頭は目まぐるしく回転していても、心はいつも冷静でなければならない。
そのためにはまた気持ちに余裕が欲しいのだという。
「忙中閑有り」という。「閑かな」時を持てれば一番良いのだが、
「忙中忙」の人は、
普段から意識的に努力して冷静な判断力を養っておく必要がある。
心にゆとりを持つこと!
「菜根譚」のこの言葉は、「忙中忙」の我々には格好のアドバイスだろう。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。