第五章 逆境を乗り越えるための心得
人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患う
ー不患人之不己知、患不知人也ー 論語 学而第一 十六
(論語:十巻二十編。孔子や孔子の門弟の言行を記したもの。
儒家の聖典とされている。四書の一)
{原文}
子曰、
不患人之不己知、
患己不知人也。
{書き下し文}
子曰く、
人の己を知らざるを患えず、
己の人を知らざるを患う。
{意解}
孔子曰く、
「人が一向に自分を認めてくれないと嘆いてはいけない。
自分こそ他人の良さをわかっていないのではないか、
真価を理解できずにいるのではないかと、
そのことを憂いなさい」
孔子の謙譲の精神として知られている有名な論語の一文である。
誰でも人に認められたいし、認められれば嬉しいものだ。しかし、
一生懸命に仕事に打ち込んでいるし、決して人には負けないほど
努力しているつもりだが、その割には報われない。そんなときに、
つい愚痴をこぼしてしまうのが人情である。
孔子は、自分の価値や能力を認めて貰いたいのであれば、
まずは自分の周囲にいる優れた人物の価値を認めなさいと説く。また、
この一文は、能力と意欲があるのに、
立身出世(高位の役職への仕官)を果たせない
弟子たちの、焦りと不安を諭す
孔子の思いやりでもあったのかも。
三国志 孫権 名言に「その長ずる所を貴び、その短なる所を忘る」とある。
人は叱られるよりも、褒められることによって、やる気も出るし、成長もする。
短所をあげつらうよりも、孫権のように長所を褒めてやるほうが、
部下を使いこなす、また、人と接する上手なコツなのかもしれない。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。