疑謀は成すなかれ|疑謀勿成|書経 大禹謨|疑思問|疑わしきは問え

第六章 成功の心得
疑謀は成すなかれ
ー疑謀勿成ー 書経 大禹謨
{書経:二十巻。「尚書」のこと。五経の一つ。堯、舜の伝説時代から夏、殷を経て、周代に至る間の政治に関する記録。初めは単に「書」といったが、宋代になって「書経」と呼ばれるようになった。}
{原文}
任賢勿貳、
去邪勿疑、
疑謀勿成。
{書き下し文}
賢に任ずるに貳する勿かれ。
邪を去りて疑う勿かれ。
疑謀は成す勿かれ。
*貳する:うらぎる

{意解}
賢者を任用しながら、他の雑音に惑ってはいけない。
邪悪な人をしりぞける場合には、疑うことなく断乎として実行し、
ためらってはいけない。
計画に少しでも疑問があるならば実行してはならない。
と訳せる。
この人ならと、一度決めてその部署を任せたならば、迷ってはいけない。
群雄割拠の戦国時代に於いては、国の存亡に直結することが殆どだろう。
善くないと判断したら、躊躇わずに中止する。
そして、計画に少しでも疑問、不安があるならば、疑問点を解明し、
不安を取り除き、万全であると見極めてから実行に移せといっている。
(疑思問:疑わしきは問うを思い)
客観的にみれば、当たり前と思われるが、
時としてこの事が忘れられているようである。
時に迫られて見切り発車すること等がよい例だ、
「事上に合わせて対処する」では善い結果を生むことは難しいだろう。
焦らないことである。疑問や不安を抱えての行動よりも、
時をずらしてでも、疑問、不安を取り除いてからの方が、
勝率、成功率が上がるというものである。
通俗編 交際 巻13にも「疑わば用うるなかれ、用いては疑うなかれ」とある。
人を使う本質である。信頼の置けない人物は初めから採用するな、
見込んで採用したら、最後まで信頼して使え、と言っている。
自分が上から信頼されているかいないか、敏感に伝わるものである。
信頼されていないと感じれば、萎縮して、
実力の半分も出し切れないという悪循環になってしまう。
人をみる眼を養っておかなければ、リーダーは務まらないということでもある。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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