忌めば則ち怨み多し|忌則多怨|春秋左氏伝 僖公九年|
第八章 リーダーの心得
忌めば則ち怨み多し
ー忌則多怨ー 春秋左氏伝 僖公九年
【左伝:三十巻。「春秋左氏伝」の略。魯の左丘明の撰と伝えられている。
「春秋」の注釈書で「左氏伝」ともいう。十三経の一つ】
原文:
公曰、忌則多怨。
又焉能克、是吾利也。
其言雖多忌、適足以自害。
不能勝人也。秦伯慮其還害己。
故曰、是吾利。
書き下し文:
公曰く、忌めば則ち怨み多し、
又焉んぞ能く克たん、是れ吾が利なり。と
其の言忌むこと多しと雖も、適に以て自ら害するに足れり。
人に勝つこと能わず。秦伯其の還って己を害せんことを慮る。
故に曰く、是れ吾が利なり、と。
意解:
「忌む」とは嫌うこと。対人関係でそんな感情を露骨に出すと、
人の恨みを買うことが多くなるというのだ。
当然といえば、当然のことである。
とは言っても、
どうしても好きになれない相手というのは必ずいるものだ。
しかし、そんな相手でも、距離をおいて淡々と対すれば、いいのではないか。
ことさらに嫌悪感を示すのは愚の骨頂であろう。
「忌めば則ち怨み多し」を、とくに肝に銘じておいてほしいのは、
人の上に立つ人間である。リーダーが部下に対して、あいつは嫌い、
こいつは嫌だとえり好みをしていたのでは、組織はガタガタになってしまう。
リーダーは公平な態度で部下に接しなければならない。
これはリーダーの重要な条件であるが、
この公平原則を破る大きな原因の一つが、
選り好みである。その結果、感情的な人事がまかりとおり、
そのムリはいつか必ずリーダーの身にはね返ってくるのである。
リーダーだけでなく、誰しも自問自答し、
「謙虚に自己啓発」が必要である。
書経 夏書 五子之歌にも
「怨み豈に明らかなるに在らんや、見えざるをこれ図れ」とある。
訓えとして、人とは仲良くすべきで、けっして見下してはいけない。
人は皆自分よりも勝るところを持ち合わせている。
相手に対しては敬意をはらい、尊重する心を持って接するべきである。
何度も過失や失敗を繰り返していれば、不信感が募るのも明らかで、
言動に表れる前に、目に見えない段階でそれを察知し、手を打つべきである。
そのためには、たえず自分の行動を自問自答し、
不満や不信感に繋がりそうな要素を取り除いておくべきで、
災いを未然に防ぐ(事先予防)ためには、
そういう心構えが必要だと言っている。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません