国を治むる者は田を鎒るが若し、苗を害する者を去るのみ|淮南子|

第八章 リーダーの心得
国を治むる者は田を鎒るが若し、苗を害する者を去るのみ
ー治国者若耨田,去害苗者而已ー 淮南子 巻十六 說山訓
【淮南子|えなんじ|二十一巻。前漢の淮南王劉安が幕下の学者に命じて、
おのおのの専門について講論させて作った書】
原文:
治国者若鎒田、
去害苗者而已。
書き下し文:
国を治むる者は田を鎒るが若し、
苗を害する者を去るのみ。
*鎒る:すきで雑草を除き取る

意解:
田の草取りも、今は除草剤などを使ってやるからずいぶんと楽になったが、
昔はいちばんの重労働で、田の中を這いつくばって除草したものだった。
国の政治も、その除草と同じ要領で、雑草を取り除けばそれでよいのだという。
下手にやる気を出して、新規の大事業を始めたり、国家成立の根幹に関わる
抜本改革などに着手すると、騒ぎばかり大きくなって、ろくな結果にならない。
それよりは、害になるものだけを取り除いて、
あとは自然の成長に期待したほうが善いという考えだ。
宋代の司馬光という宰相も、同じようなことを語っている。
「天下を治むるは、たとえば室に居るが如し、敝るれば則ちこれを修え、
大いに壊るるにあらずんば、更造せざるなり」
壊れたら直せばいい、建替え等めったにすべきでない、というのだ。
大人の知恵と言ってよいだろう。
管子 牧民に「衣食足りて礼節を知る」とある。
国を治める者は、いつも務めて食料に気を配らなくてはいけない。
国に財が多ければ遠くから人が集まり、土地が開墾されれば定住してくれる。
食事の心配が無くなれば礼節を知り、衣食が足りると栄辱を知る。
米倉がいっぱいになると礼節をわきまえるようになり、
衣食が十分に足りるようになると栄誉恥辱を知るようになるのだという。
つまりは、生活にゆとりができさえすれば、
道徳意識は自ずから高まると云っている。
まずなによりも民生の安定を図ることが先決であり、
国民の生活さえ安定すれば、自ずから道徳意識が高まり、
それにつれて国の基礎も固まる。経済優先の政策である。
*更造:建替える
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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