第八章 リーダーの心得
一隅を守りて、万方を遺る
ー守一隅而遺万方ー 淮南子 泰族訓
【淮南子:二十一巻。前漢の淮南王劉安が幕下の学者に命じて、
おのおのの専門について講論させて作った書】
原文:
夫守一隅而遺萬方、
取一物而棄其餘、
則所得者鮮矣、
而所治者淺矣。
書き下し文:
一隅を守りて、万方を遺る、
一物を取りて其の餘を棄つ、
則ち得るところ鮮なし、
而るに治めるところ浅し。
意解:
「一隅」とは、四隅のうちの一隅、「万方」とは四方であり、
この場合は、一隅に片寄らない大局的な判断の意味である。
よってこの言葉の意味は
「一隅を守っていて、大局的な判断を忘れてしまう」ということになる。
治める者(リーダー)は、こうあってはならないということである。
管理職の場合、課長なら課長の責務、部長なら部長の責務をきちんと果たす。
これが「一隅を守る」である。しかし、それだけではまだ十分ではない。
全社的な視野に立っての責務を果たすことが望まれるのである。
経営のトップについても同じことが言える。
自分の会社の利益だけを追求しているようでは、失格である。
自分の会社の利益を追求するにしても、
できるだけそれを社会の利益と一致させることが望まれる。
そう警告しているのが、「淮南子 泰族訓」のこの言葉である。
史記 扁鵲倉公列伝に「管を以って天を窺う」とある。
狭い見識を基準にして、大きな問題について自己流の判断を下すたとえで、
視野の狭さを笑った言葉である。この故事「管を以て天を窺う」だが、
視野が狭くなるのは、大抵自分が属する組織のなかに埋没しているからだと説く。
そうならないためには,普段から別の組織や異業種の人間と
積極的に交流し合うべきだろう。異業種交流も重要に思える。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。