第八章 リーダーの心得
大人は言必ずしも信ならず、行必ずしも果ならず
ー大人者言不必信、行不必果ー 孟子 離婁章句下
【孟子:七編。戦国中期の儒家孟軻の言行や学説を編集したもの。
性善説や王道論は有名。四書の一つ】
原文:
孟子曰、
大人者元不必信、
行不必果、
惟義所在。
書き下し文:
孟子曰く、
大人は言必ずしも信ならず、
行必ずしも果ならず、
惟義の在る所のままにす。
*大人:おとな、成人
*義:利害をすてて条理に従う。公共のために尽くす気持。
意解:
田中角栄元首相が北京に乗りこんで、
当時の周恩来総理と国交回復の交渉をしたときのこと。
周恩来から角栄氏に一枚のメモが渡された。見ると、
「言必信、行必果」と書かれてあったという。
「言必ず信、行必ず果」約束したことは必ず守ってくださいよ、
やりかけた仕事は必ず最後までやり通してくださいよ、と読める言葉だ。
この言葉の出典は「論語」であるが、必ずしも褒め言葉とは言い難い。なぜなら、
この程度のことができなかったら、そのへんのカスみたいな政治家と
同じにみなしますぞという意味が、言外に込められている言葉であるからだ。
それを間接的に語っているのが、「孟子」のこの言葉である。
大人は、必ずしも「言必信、行必果」にこだわらないのだという。では、
大人にとって第一義的に重要な事は何か。「ただ義の在るところ」と
「孟子」は断言している。「義」のまえには、前言を取り消しても、
いっこうにさしつかえないのだという。
論語 ⾥仁 第四 ⼗六章に「君子は義に喩り、小人は利に喩る」とある。
君⼦は真っ先に義を考える、 ⼩⼈は真っ先に利を考える。という意味である。
「義」は、五常(仁・義・礼・智・信)のひとつである。
正しい⾏いを守ることであり、道理にかなっていること。
また、孔⼦は完成された⼈間の⼀つの条件に
「⽬の前に利益がぶら下がっていても義を踏み外さない」
利益を追求するにしても、公正なルール「命と仁」を守って
⾏うことを説いている。
*義:儒教における五常の一(仁・義・礼・智・信)
人として守るべき正しい道。道義。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。