小恵を私して大体を傷るなかれ|毋私小恵而傷大体|菜根譚 超訳|
第八章 リーダーの心得
小恵を私して大体を傷るなかれ
ー毋私小恵而傷大体ー 菜根譚 超訳 前集131項
【菜根譚:明の洪自誠編。前集222条では人との交わり、事治、対応の道を説き、後集135条では退静閑居の楽しみを論じている】
原文:
毋因群疑而阻独見。
毋任己意而廃人言。
毋私小恵而傷大体。
毋借公論以快私情。
書き下し文:
群疑に因りて独見を阻むこと毋れ。
己の意に任せて人の言を廃すること毋れ。
小恵を私して大体を傷る毋れ。
公論を借りてもって私情を快くすること毋れ。
意解:
「多数からの疑いに影響されて、自分の意見を捨ててはならない。
自分の意見に拘り、人の意見を排除してはいけない。
小さな私恩を売ることに汲々として全体の利益を犠牲にしてはならない。
大衆の人気を利用して、自分だけ良い思いをしてはならない。」
この一節はとくに組織のリーダーが自戒しなければならないことである。
例えば政治家である。国の予算をぶんどってきて自分の選挙区に橋をかけてやった、
道を舗装してやったというのは「小恵を私する」たぐいである。
ある程度はやむおえないかもしれないが、そうゆうことにばかりに
頭を使っているようではやはり困るのである。さらに、厳しい言い方をすれば、
バラマキ福祉で財政破綻を招くのも、「小恵を私して大体を傷る」のたぐいだと
言われてもやむおえないかもしれない。
政治家だけではない。会社などでも、自分の勢力を扶植(植えつけ拡大する)しようと
あの手この手で私恩を売っているリーダーを見かけるが、それもこのたぐいである。
こんなリーダーが幅を利かすようになると、その組織は危ない。
「大体」を傷っては、リーダー失格である。
リーダーのみならず、初心を思い出し、人として自分の行いを自戒し
鍛えなおす努力を促するべきだろう。(自己啓発)
淮南子 泰族訓に「一隅を守りて、万方を遺る」とある。
治める者(リーダー)には、一隅に片寄らない
大局的な判断が必要だとも云っている。
管理職の場合、課長なら課長の責務、部長なら部長の責務をきちんと果たす。
これが「一隅を守る」である。しかし、それだけではまだ十分ではない。
全社的な視野に立っての責務を果たすことが望まれるのである。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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