善く戦う者の勝つや、 智名も無く、勇功も無し|孫子 形編 二|

第六章 成功の心得
善く戦う者の勝つや、 智名も無く、勇功も無し
ー善戦者之勝也、無智名、無勇功ー 孫子 形編 二
(孫子:一巻。春秋末期の呉の孫武の撰した兵法書。)
{原文}
古之所謂善戦者、
勝於易勝者也。
故善戦者之勝也、
無智名、無勇功。
{書き下し文}
古の所謂善く戦う者は、
勝ち易きに勝つ者なり。
故に善く戦う者の勝つや、
智名も無く、勇功も無し。

{意解}
「勝ち易きに勝つ」とは、「余裕を持ってらくらくと勝つ」ということ。
無理のない勝って当然な勝ち方である。
解りやすく野球の外野手の例が挙げられている。
「よく下手な野球選手ほどファインプレーをするといわれる。
下手な外野手は、勘も鈍いし、足も遅い。
カーンという打球音がしてから一瞬間をおいて動き出す。
だから、それは難しくない飛球でも、逆シングルで補給したりする。
素人が見ると、それが結構ファインプレーのように思われる。
その点、上手な外野手は、あらかじめ打者の癖を読んで守備位置を変えており、
カーンという打球音を聞いたとたんに行動を起こしている。
だから、難しいライナー性の飛球でも、余裕をもって追いついて、
体の正面で捕球している。素人が見ていると、なんでもないプレーに見えるが、
玄人に言わせると、それが実はほんとうのファインプレーなのだという。」
「勝ち易きに勝つ」とは、上手な外野手の
なんでもないプレイ(ファインプレイ)のようなものである。
これができるためには、状況分析、迅速な対応、万全な準備等が要求される。
中庸 第二十章に「事予めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃す」とある。
何事も、十分な準備をして取り掛かれば成功し、それを怠れば失敗する。
成功と失敗の鍵となるのは、色々あるが、先ずは準備と
十分な配慮にかかっていると言っている。
物質的にも精神的にも、十分な準備と慎重さをもって、
事を始めたいものである。
善く戦う者の勝つや、智名も無く、勇功も無し。
「智名勇功」が目に見える勝ち方は、
目に見える戦いをしている時点で「善く戦う者」ではないというのが、
『孫子』の(最高戦略)考え方。「戦い」は目に見えず、
勝って当たり前の状態で勝つのが「最上」だといっている。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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