第二章 自己を高める
智はなお水の如し、流れざるときは則ち腐る
ー智猶水也、不流則腐ー 宋名臣言行録
(宋名臣言行録:二十四巻。前集十巻、後集十四巻は南宋の朱熹の撰。続集八巻、別集二十六巻、外集十七巻は李幼武の補。宋代名臣の言行を集めたもの。)
{原文}
智猶水也、
不流則腐。
{書き下し文}
智はなお水の如し、
流れざるときは則ち腐る。
{意解}
自然の恵み、水を使った喩え、諺は多い。
「上善は水の如し」・・・・理想的な生き方を水に学ぶ
「明鏡止水」・・・・静かで澄み切った心の状態
「君は船なり、庶人は水なり」・・・・源の善し悪し。
「兵の形は水に象る」・・・・柔軟な思考で臨機応変な采配
「水清ければ大魚なし」・・・・厳しさだけでなく、寛容な態度の必要性
ここでは 流れて清く、澱んで腐敗する 「水」である。
「智」も頭脳も絶えず使っていないと 衰えて使い物にならなくなる。
宋代名臣の張詠が部下に対して言っていることばで
「大小の事、皆すべからく智を用うべし。 凡百、 智を用いずんば、
大事の際に臨みて、 いずくんぞ智の来たるあらんや」と云っている。
常日頃から「智」頭を使っていないといざ必要な時に 名案など思いつかないのだと。
必要な時に思いつかず 事が終わった後から、ああすればよかった、
こう言えばよかった。と、後悔することが 誰しも少なからずあるだろう。
素晴らしい名案を思いついたところで「愚者の後知恵」では用を足さない。
日常からの精進の大切さを教えてくれている。
古文真宝に「謂うこと勿れ、今日学ばずして来日ありと」とある。
社会に出てからは、学んだことを「事上」で 身につけることを忘れがちで
「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆うし」
「後悔先に立たず」と 自己嫌悪に陥った経験もあるのでは!
学ぶことに遅すぎるという事はない。
「勉強」は学生時代だけの専売特許ではない。
若き日のバイタリティーを思い出し、
「荘にして学べば老いて衰えず、老いて学べば死して朽ちず」
(佐藤一斎)だ。
仕事に、雑事にかまけていたのでは、いつまでたっても、とりかかれない。
思い立ったが吉日である。ゆっくりでもいい、階段を上り続けることが必要だろう。
階下も観えてくるはずだ。
*凡百:かずかず、もろもろ
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。