小人は水に溺れ、君子は口に溺れ、大人は民に溺れる|礼記 緇衣篇|

第六章 成功の心得
小人は水に溺れ、君子は口に溺れ、大人は民に溺れる
ー小人溺於水、君子溺於口、大人溺於民ー 礼記 緇衣篇
{礼記:四十四篇。周末秦漢時代の礼に関する理論及び実際を記録編集したもの。前漢の戴聖によって伝えられた。「小戴礼」又は「戴記」といわれる。五経の一つ。*緇衣篇:政治的教訓(賢者を好むことなど)について論じたもの。}
{原文}
小人溺於水、
君子溺於口、
大人溺於民。
皆在其所褻也。
{書き下し文}
小人は水に溺れ、
君子は口に溺れ、
大人は民に溺れる。
皆その褻るる所に在り。

{意解}
孔子が言うには「民は水に溺れ、少し偉い者は喋り過ぎて口に溺れ、
為政者は心地良いことを喋って民に溺れる。」と。
「溺る」というのは、失敗を招くということ。小人は水、君子は口、大人は民と、
おのおののレベルに応じて失敗する対象がちがっている。しかし、
失敗する対象が違っていても、共通する原因は
「皆その褻るる所に在り」という。つまり、慣れからくる油断である。
「小人は水に溺る」~よくわかる、酒・遊行・ギャンブル。
「君子は口に溺る」~アルコールが入ると、誰でも口が軽くなる。
「大人は民に溺る」~侮った心で「民」に接する。
「礼記」はこう語ったあとで、
「故に君子は慎まざるべからず」と念を押している。
私たちの日々の仕事・生活に於いても、省みる一文に思える。
説苑 卷一六 談叢に
「福は微なるより生じ、禍は忽にするより生ず」とある。
「忽(おろそか)」は、慣れや油断から生まれる。
いつも気持ちを引き締めて仕事、生活にあたれば、
「禍」を避けることができると言っている。
物事を軽んじるなということである。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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