賢士の世に処るは譬えば錐の囊中に処るが若し|史記 平原君列伝|
第六章 成功の心得
賢士の世に処るは譬えば錐の囊中に処るが若し
ー賢士之処世也譬若錐之処於囊中ー 史記 平原君列伝
【史記:百三十巻。前漢の司馬遷の撰した中国最初の通史。上古の黄帝から、漢の武帝に至る歴史を紀伝体によって記している。】
書き下し文:
平原君曰く、夫れ賢士の世に処るや、
譬えば錐の嚢中に処るがごとく、其の末立ちどころに見る。
今、先生、勝の門下に処ること、此に三年なり。
左右、未だ称誦する所有らず、勝も未だ聞く所有らざるは、
是れ先生、有する所無きなり。先生能わず、先生留まれ、と。
毛遂曰わく、臣、乃ち今日、嚢中に処らんことを請うのみ。
遂をして蚤く嚢中に処るを得しめば、乃ち穎脱して出でん。
特だに其の末の見るるのみに非ず、と。平原君、竟に毛遂と偕にす。