奇貨居くべし|奇貨可居|史記 呂不韋伝|(先⾒の明)先を見通す。

第六章 成功の心得
奇貨居くべし
- 奇貨可居 - 史記 呂不韋伝
(史記:百三十巻。前漢の司馬遷が撰した、中国最初の通史です。上古の黄帝から、漢の武帝までの歴史を紀伝体で記しています。)
{原文}
子楚、秦諸庶孽孫、質於諸侯。
車乘進用不饒、居處困、不得意。
呂不韋賈邯鄲、見而憐之曰、
此奇貨可居。
{書き下し文}
子楚、秦の諸庶孽孫にして、諸侯に質たり。
車乗進用饒かならず、居處困しみ、意を得ず。
呂不韋、邯鄲に賈ふに、見て之を憐みて曰はく、
此の奇貨居くべし、と。
*子楚:始皇帝の父
*庶孽:妾子
*質:人質
*進用:生活費
*奇貨: めずらしい品物

{意解}
「掘り出し物だ、仕⼊れておこう」という意味。
「このチャンス、逃してなるものか」といったニュアンスでも使われる。
秦の始皇帝がまだ秦王の時代、その相国(宰相)として権勢をふるったのが
呂不韋という⼈物である。
この⼈物は、当時としては珍しく商⼈の出である。若い頃、
たまたま商⽤で趙の都(邯鄲)に⾏った時、⼦楚という秦の王⼦を⾒かける。
⼦楚は王⼦ではあったが妾腹の⼦であった事から冷遇され、
趙に⼈質に出されていた。⼈質なので、暮らしぶりも楽ではない。
そんな⼦楚の境遇を聞いて呂不⾱のもらしたのが、
この「奇貨居くべし」であったという。
呂不⾱は全財産をはたいて⼦楚の擁⽴に賭け、成功させる。
ちなみに⼦楚の⼦が秦王政、後の始皇帝である。
呂不⾱のようにチャンスを⾒逃さず、すばやく⾏動に移す、
これが⼈⽣の運命を分けるようである。
(先⾒の明)
戦国策 趙策二の「愚者は成事に闇く、智者は未萌に見る」に事態が表に現れてくる前の段階。その「未萌」の段階で、動きを察知し、適切な対応を取れる人、そんな人が「智者」だと言っている。思うに、日常において何事も萌す前(未萌)に思い至れば、今より有利に後悔の少ない人生を辿れることは確かである。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
⾃分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、⽇々、何をするにしても
⼤なり⼩なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴⽅も私も 在りたいですね。
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