利を以って合する者は、窮禍患害に迫られて相棄つ|莊子 外篇 山木

第七章 人と接するための心得

利を以って合する者は、窮禍患害に迫られて相棄つ50,96
利を以って合する者は、窮禍患害に迫られて相棄つ50,96

第七章 人と接するための心得

 

ってがつするものは、窮禍患害きゅうかかんがいせまられて相棄あいす

ー以利合者、迫窮禍患害相棄也ー  莊子 外篇 山木第二十
【荘子:三十三篇。戦国中期の道家荘周とその一門の思想を記したもの。荘周の撰。外・内・雑編から成り、内編七編以外の大部分は、後人の仮託になるものといわれている。「南華新経」ともいう】




原文:

以利合者、迫窮禍患害相棄也
以天屬者、迫窮禍患害相收也。
夫相收之與相棄、亦遠矣。
君子之交淡若水
小人之交甘若醴。
君子淡以親、小人甘以絶。
彼無故以合者、則無故以離。




書き下し文:

ってがつするものは、窮禍患害きゅうかかんがいせまられて相棄あいすつ、
てんってぞくするものは、窮禍患害きゅうかかんがいせまられて相収あいおさむ。
相收あいおさむると、相棄あいすつるとは、とおし。
君子くんしまじわりはあわきことみずのごとく、
小人しょうじんまじわりはあまきことれいのごとし。
君子くんしあわくしてってしたしみ、小人しょうじんあまくしてってつ。
故無ゆえなくしてってものは、すなわ故無ゆえなくしてってはなる。

窮禍患害きゅうかかんがい:どん底の状態

利を以って合する者は、窮禍患害に迫られて相棄つ50,96
利を以って合する者は、窮禍患害に迫られて相棄つ50,96




意解:

利害関係で結ばれた者は、苦境や困難に直面すると、
たちまち相手を見棄みすててしまうのだという。
てんってぞくする者」、すなわち、
深い信頼関係で結ばれた者同士の場合は、苦境や困難におちいると、
かえって親身になって助け合うのだといっている。

私達の現状での交友関係では、
利害関係で結ばれている場合も少なからずである。
頭で認識していれば、そんな場合に直面した時に、
相手に余計な心理的負担を強いることもないし、
己の精神的な落胆も少なくて済むのかもしれない。

莊子 外篇 山木第二十に「君子の交わりは淡きこと水の若し」とある。
水のように淡々とした交わりは、いつまでも飽きがこず、
長続きする、と云う。良好な人間関係を保とうとするなら、
君子の交わり(淡以親:あわくしてもっしたしむ)を
心がけたほうがいいのかもしれない。

*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。