善く将たる者は愛と威とのみ|善将者愛与威而巳|尉繚子 攻権第五|
第八章 リーダーの心得
善く将たる者は愛と威とのみ
ー善将者愛与威而巳ー 尉繚子 攻権第五
【尉繚子:うつりょうし|二十四篇五巻。兵法書。戦国時代の兵家、尉繚の著と伝えられている】
原文:
知勝敗之道者、必先知畏侮之權。
夫不愛悦其心者、不我用也。
不嚴畏其心者、不我舉也。
愛在下順、威在上立、
愛故不二。威故不犯。
故善將者、愛與威而已。
書き下し文:
勝敗の道を知る者は、必ずまず畏侮の権を知る。
それその心を愛悦せざる者は、わが用たらざるなり。
その心を厳畏せざる者は、わが挙たらざるなり。
愛は下の順にあり、威は上の立つるにあり。
愛するがゆえに二ならず。威あるがゆえに犯さず。
ゆえに善く将たる者は、愛と威とのみ。
意解:
⽴派なリーダーになるためには、「愛」と「威」の⼆つの条件さえあれば、
それで⼗分なのだという。「愛」とは、愛情、恩情、思いやりである。
「威」とは、重圧感を与えるような強さ、厳しさを⾔う。
いずれも、部下に対する統率⼒に関係した⾔葉である。
リーダーが⾃分の地位や権限を振りかざせば、部下を命令に従わせることは
できるかもしれない。だが、それだけでは⼼服はされないであろう。
部下のやる気を引き出し、「この⼈のためならば」と思わせるためには、
普段から「愛」をもって臨む必要がある。しかし、
「愛」だけでは組織管理に⽢さが残る。
へたをすると、上も下も、なあなあ主義の馴れ合いが横⾏して、
組織としてのまとまりが無くなってしまう。
そうならないために必要なのが「威」である。
これでしっかりと抑えを効かせるのだ。
リーダーはこの⼆つのバランスをとるよう⼼がけなければならない。
しかし、「老子」は、力を誇示したり乱用したりしない。
どんな相手にも謙虚な態度でへりくだる。故に、
逆にリーダーとして人に立てられるのだとも言っている。
【不争の徳】
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
⾃分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、⽇々、何をするにしても
⼤なり⼩なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴⽅も私も 在りたいですね。
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