法を用うること、務め寛簡に在り|用法務在寛簡|貞観政要|

第八章 リーダーの心得
法を用うること、務め寛簡に在り
ー用法務在寛簡ー 貞観政要
【貞観政要:|十巻。唐の呉兢の著。唐の太宗と重臣とが政治に関して論じたものを、四十門に分けて類編した書】
原文:
用法務在寛簡
書き下し文:
法を用うること、務め寛簡に在り

意解:
唐の太宗があるとき側近の者を集めてこう語った。
「一度死んだ者は二度と生き返らせることはできない。だから法の適用は、
なるべく緩やかにすることが望ましい(法を用うること、務め寛簡に在り)。
ところが今の司法官を見るに、古人がいみじくも、『棺桶を売る者は、毎年、
疫病の流行することを望む。他人が憎いからではない。棺桶がたくさん売れるからだ』
と語ったように、やたらと苛酷な取り調べを行って、
己の成績を上げる事ばかり考えている」
この太宗の嘆きは、現代にも当てはまるかもしれない。たとえば、
点数稼ぎを目的とする交通違反の取り締まりなどはその一例であろう。
そんなことに熱心なところほど、肝心の事件の解決率が低いとくるから、
一層始末が悪い。
この問題はまた警察や司法だけの課題ではない。一般の人事管理においても、
「務め寛簡に在り」の原則でありたいものである。
礼記に「苛政は虎よりも猛し」とある。
悪い政治(重税や厳しい刑罰をおこなう政治)は
人を食う虎よりも恐ろしいと云っている。
史記 高祖本紀にも「法は三章のみ」とある。
これは信頼を勝ち取る巧みな人心の収攬術であり、
すばらしい簡潔な政治的配慮であったと言える。
書経 虞書 大禹謨に「その不辜を殺さんよりはむしろ不経に失せよ」とある。
ただし、この「書経」の考え方は、為政者(リーダー)の徳を強調したものである。
「下に臨むに簡を以てし、衆を御すに寬を以てす。罰は嗣に及ぼさず、
賞は世に延ぼす。過てるを宥めて大いなりとすること無く、
故を刑するに小しきなること無し。罪の疑わしきは惟を軽くし、
功の疑わしきは惟を重くす。その不辜を殺さんよりは、寧不経に失せよ。」
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も ありたいですね。
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