その復びすべからざるを為にせば、則ち事敗るること寡し|韓非子|
第二章 自己を高める
その復びすべからざるを為にせば、則ち事敗るること寡し
ー為其不可復者也、則事寡敗矣ー 韓非子 説林
{韓非子:二十五巻五十五篇。戦国時代の韓非の撰。先秦時代の法家の学を集大成し、それに韓非の考えを加えたもの。はじめ「韓子」と称したが、宋以後、唐の韓愈と区別するため「非」の字を加えたもの。}
{原文}
桓赫日、「刻削之道、
鼻莫如大、 目莫如小。
鼻大可小、小不可大也。
目小可大、大不可小也。
挙事亦然。
為其不可復者也、
則事寡敗矣。」
{書き下し文}
桓赫曰く、「刻削の道は、
鼻は大なるに如くはなく、 目は小なるに如くはなし。
鼻大なるは小にすべきも、小なるは大にすべからず。
目小なるは大にすべきも、大なるは小にすべからず。
事を挙ぐるもまた然り。
その復びすべからざるを為にせば、
則ち事敗るること寡し。」
{意解}
「韓非子」のなかで、桓赫という人物が語っている。
「彫刻をするときは、鼻はできるだけ大きく、 目はなるべく小さくとってから
始めたほうが良い。なぜなら、大きな鼻は小さくできるが、
小さい鼻は大きくすることができない。小さい眼は大きくすることができるが、
大きい眼は小さくすることができないからである。
これは彫刻だけではなく、どんなことにもあてはまる。
修正がきかない部分を念入りに行えば、 滅多に失敗しないものだ」
この後段の箇所が表題の言葉である。
何事も、修正・復元(フィードバック)出来るかどうかを念頭に、
それができないところは、十分な配慮と、慎重さをもって 対処するべきだ、と云う。
中庸 第二十章に「事予めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃す」とある。
何事も、十分な準備をして取り掛かれば成功し、それを怠れば失敗する。
成功と失敗の鍵となるのは、色々あるが、
先ずは準備と十分な配慮にかかっていると言っている。
物質的にも精神的にも、十分な準備と慎重さをもって、
事を始めたいものである。
参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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