蝸牛角上の争い|蝸牛角上之争|荘子 則陽篇|
第一章 大きく生きる
蝸牛角上の争い
ー蝸牛角上之争ー 荘子 則陽篇
(荘子:三十三篇。戦国中期の道家荘周とその一門の思想を記したもの。荘周の撰。外・内・雑編から成り、内編七編以外の大部分は、後人の仮託になるものといわれている。「南華新経」ともいう。)
中唐を代表する詩人、白居易(白楽天)からの出典である。
{書き下し文}
酒に対す、
蝸牛角上何事をか争ふ。
石火光中此の身を寄す、
富に随ひ貧に随ひ且らく歓楽せよ。
口を開いて笑はざるは是れ癡人。
*癡人:おろかな人。ばかな人。
{口語訳}
酒に対す
かたつむりの角のような小さなせまい場所で、
(人々は)いったい何を争っているのか。
(人生は)火打ち石から飛び出す火花のような一瞬の人生に、
この身を寄せているのである。
(そうと解かれば)貧富それぞれ分相応に、
ともかくよろこび楽しんで過ごすべきである。
(事に悩んで)大口をあけて笑うこともしないのは、まったく愚かである。