久安を恃むことなかれ、初難を憚ることなかれ|菜根譚 前集|

第四章 着実に生きる
久安を恃むことなかれ、初難を憚ることなかれ
ー毋恃久安、毋憚初難ー 菜根譚 前集202項
(菜根譚:明の洪自誠編。前集222条では人との交わり、事治、対応の道を説き、後集135条では退静閑居の楽しみを論じている
{原文}
毋憂払意、
毋喜快心。
毋恃久安、
毋憚初難。
{書き下し文}
払意を憂うることなかれ、
快心を喜ぶことなかれ。
久安を恃むことなかれ、
初難を憚ることなかれ。
*久安:長く続いた幸せな状態
*初難:最初にぶつかった困難

{意解}
自分の思うとおりに成らない、
そんな時は苛苛したり、くよくよするな。
順風満帆な時もある、
そんな時は有頂天になったり自慢したりしてはいけない。
今の幸せがいつまでも続くと思うな。
最初の困難にくじけて逃げ腰になるな。
と言った意味になろう。これもまたバランスの取れた処世観と言ってよい。
幸せな状態が長く続くと、ついそれになれて、幸せがいつまでも続くものだと
思うようになる。その結果、不幸に見舞われると、とたんに取り乱してしまう。
そうならないためには、普段から抵抗力を養い、
物心両面の備えを怠ってはならない。
また、何をするにしても困難はつきものであるが、
最初の困難にぶつかって腰砕けになったのでは話にならない。
突破する道はあるはずだと自分に言い聞かせながら、粘ることである。
「親方日の丸(日本国営企業)」的な企業、大手企業等、今が順風満帆でも
時代の流れで民営化、規模の縮小、突然の倒産に襲われる事もありえる。
こんな時、普段からの心構えがないと途端に取り乱してしまう。
故に普段からの物心両面の備えを怠ってはならないと菜根譚は教えている。
孟子 盡心章句上 第十八章にも「徳慧術知ある者は恒に疢疾に存す」とある。「徳慧」とは、立派な人格、「術知」とは、素晴らしい才能。「疢疾」は艱難。
故に、立派な人格と素晴らしい才能を併せ持った人物というのは、
艱難辛苦の中で磨かれてくるものだ、という意味になる。
できれば、「疢疾」を肥やしにして自分を成長させていく
逞しい精神を身につけたいものである。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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