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羝羊、藩に触れてその角に苦しむ|羝羊触藩羸其角|易経 雷天大壮|

羝羊、藩に触れてその角に苦しむ 第四章 着実に生きる
羝羊、藩に触れてその角に苦しむ

第四章 着実に生きる

 

羝羊ていようまがきれてそのつのくるしむ

ー羝羊触藩羸其角ー     易経 雷天大壮 九三
(易経:「易」または「周易」ともいう。五経の一つ。卜筮{ぼくぜい}の法によって、倫理道徳を説いたもの。上下の『経」と、その注釈篇である。「十翼」からなり、十翼は孔子の編と伝えられている。)




{原文}

大壮、利貞。
初九、壮于趾。征凶。有孚。
六二、貞吉。
九三、小人用壮、君子用罔。貞厲。羝羊触藩羸其角。
九四、貞吉。悔亡。藩決不羸。壮于大輿之輹。
六五、喪羊于易。无悔。
上六、羝羊触藩、不能退、不能遂。无攸利。艱則吉。




{各爻解義}

初九:
大壮の始めである。どんどん物事が生じてゆく(有孚ゆうふ)であるから、
この始めに当たって軽率に進むは凶である。折角のまこときゅうする。

六二:
初九に続いて、所信しょしんを変えずにけば吉。

九三:
小人ほど勢いに乗じて妄進しようとする。
君子は無をもってする。ていなれどもあやうし。
羝羊ていよう(おひつじ)が角ふりたててひた走るはて(結果)は、

まがきに引っかかって動きが取れないというようなことになる。

九四:
正義をんで変わらねば吉。まがきも破れて助かろう。
大車のとこしばり(車軸)をしめて、安全にするようなものである。

六五:
正大せいだいにして自重じちょうすれば、いることはない。
妄進もうしんする羊はいつの間にかえきが見えなくなる。

上六:
要するに妄進すれば、にっちもさっちもゆかなくなって凶なのであるから、
私心私欲ししんしよくを去り、全体の調和を考えて苦心努力してゆけばよい。
とがも長じないのである。

備考:
有孚ゆうふ:育つ
所信しょしん:信ずるところ
正大せいだい:態度や言動などが正しくて堂々としていること
えき:たやすいこと

羝羊、藩に触れてその角に苦しむ

羝羊、藩に触れてその角に苦しむ




{意解}

羝羊ていよう」とは牡羊おひつじ
牡羊が勢いに任せて突っ走り、垣根かきね(藩)に角を引っ掛けて、
進むもならず退くもならず、もがき苦しむということ。
つまりこれは猪突猛進ちょとつもうしんの害を戒めた言葉になる。
私たちの人生にも、しばしばこういう事態が起こりえる。

どんな人の場合でも、長い人生の中には、一度や二度ツキの回ってくることがある。
そんな時こそ、溜め込んでいた実力を発揮するチャンスである。
事業を拡張するもよし、さらに上のレベルを目指して飛躍ひやくを試みるも善しである。

 だが、調子に乗って突っ走ると、「羝羊」のような羽目に陥りかねない。
そういう時こそ、一段と慎重な対応が望まれる。

易経えききょう」も、
小人用壮しょうじんようそう君子用罔くんしようもう:小人はさかんな勢いに任せて突き進むが、

君子はそんなことはしない」とダメ押ししている。

 好調な時こそ、一層気を引き締めてかかれ、ということである。
万事消極的であるくらいが丁度よいという時である。

*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。