第八章 リーダーの心得
喜怒を色に形さず
ー喜怒不形於色ー 三国志 卷三二 蜀書 先主備傳
【三国志:六十五巻。正史の一つ。漢滅亡の後、天下を三分した三国(魏、呉、蜀)に関する史書。五代の晋、陳寿の撰】
原文:
少語言,善下人,
喜怒不形於色。
書き下し文:
語言少なく、善く人に下り、
喜怒を色に形さず。
意解:
喜怒哀楽の感情を顔に出さない、つまり、
いつも淡々と事態に対処するということで、
リーダーに対する褒め言葉である。
「三国志」の劉備は、
「語言少なく、善く人に下り、喜怒を色に形さず」と評されている。
寡黙で謙虚、しかも「喜怒を色に形さず」と、
リーダーとしての長所を三つも持っていたというのだ。
これのメリットは、とくに危機管理の時に発揮される。
組織がピンチに陥ったとき、部下は必ず上の者がどう出るか、
その顔色をうかがう。そんなとき、
上の者が不安動揺を顔色や態度に現したのでは、
動揺はたちまち組織全体に広がってしまう。
しかし反面、われわれ日本人が下手に之を真似ると、
冷たいとかとっつきにくいといったマイナス・イメージが出てくる。
そうならないためには、これと同時に「温かさ」が必要になる。
立派なリーダーになるのも、容易なことではない。
近思録に「人に接しては則ち渾てこれ一団の和気」とある。
一見して冷たさを感じさせる人物とか、
トゲトゲしい雰囲気を持った人物のもとには、人は集まってこない。
人に好かれるのは、親しみやすく、和やかな雰囲気を纏い、
暖かさを感じさせる人物である。それがここで言っている「和気」である。
「和気」もまた人間関係を円滑にする重要な条件である。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。