前言往行を識して以ってその徳を蓄う|識前言往行、以蓄其徳|易経|

第二章 自己を高める
前言往行を識して、以ってその徳を蓄う
ー識前言往行、以蓄其徳ー 易経 象伝 山天大畜
(易経:「易」または「周易」ともいう。五経の一つ。卜筮の法によって、倫理道徳を説いたもの。上下の「経」と、その注釈篇である。「十翼」からなり、十翼は孔子の編と伝えられている。)
{原文}
識前言往行、
以蓄其徳。
{書き下し文}
前言往行を識して、
以ってその徳を蓄う。

{意解}
人は誰しも向上心は持ち合わせている。すべからく、人に信頼されずには、
自分の言動に価値はみいだせない。
説得力を持った人間、他人に信頼される人材になる為には、日々努力して、
それなりの徳を身に付けることである。
この一文は、その一つの方法「前言往行」を学ぶこと、
優れた古人の言行から学べと云っている。それを目標にして、
そのレベルに近づけるよう努力すれば自ずと徳が身に付いていくのだという。
中国には古来から言行録の類は多く、「論語」、「老子」、「貞観政要」、
「菜根譚」、「宋名臣言行録」等優れた古人の言行に接することができる。
ここで紹介している一言もその中のほんの一部である。
又、日本の古文もすてたものではない。日本人には素直に受け取れる感がする。
* 心の形るる所は、尤も言と色とに在り。
言を察して色を観れば、賢不肖、人隠す能わず。
言志四録 現代語抄訳 [ 佐藤一斎 ]
言葉と、顔色で人間が見抜けるということである。
* 恣の一字をさりて、忍の一字を守るべし
養生訓 (中公文庫) [ 貝原益軒 ]
もろもろの善は、皆慾をこらえて、恣にせざるよりおこる。
故に忍と、恣にするとは、善と悪とのおこる本なり。
* 老いて智の若き時にまされる事、
若くして貌の老いたるにまされるがごとし
『徒然草』兼好
年を取ることを何も懼れる必要はない。
智が、どんどん増えていくことなのだから
心に染みる「前言往行」に満ちている。あとは己に落とし込むだけである。
必ず、心の血となり、肉となりて、貴方を高みに導くだろう。
古文真宝に「謂うこと勿れ、今日学ばずして来日ありと」とある。
「今日やらなくても明日があるさ」という 怠りの心を戒めた言葉である。
学ぶことに遅すぎるという事はい。「勉強」は学生時代だけの専売特許ではない。
若き日のバイタリティーを思い出し、
「荘にして学べば老いて衰えず、老いて学べば死して朽ちず」
(佐藤一斎:昌平坂学問の学問と教育を主宰)だ。
*賢不肖:賢い人、愚かな人
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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