桀紂の天下を失うやその民を失えばなり|孟子 卷之四 離婁章句 |
第三章 社会を考える
桀紂の天下を失うや、その民を失えばなり
ー桀紂之失天下也、失其民也ー 孟子 卷之四 離婁章句 上9
(孟子:七編。戦国中期の儒家孟軻の言行や学説を編集したもの。性善説や王道論は有名。四書の一つ)
夏の桀王、殷の紂王は中国三千年の歴史の中でも典型的な暴君とされてきた人物である。彼らがなぜ国を滅ぼしたのかといえば、人民の支持を失ってしまったからだ。という。
{原文}
孟子曰、
桀紂之失天下也、失其民也。
失其民者、失其心也。得天下有道。
得其民、斯得天下矣。 得其民有道。
得其心、斯得民矣。 得其心有道。
所欲與之聚之、所惡勿施爾也。
{書き下し文}
孟子曰く、
桀紂が天下を失うは、其の民を失えばなり。
其の民を失うは、其の心を失えばなり。 天下を得るに道有り。
其の民を得れば、斯ち天下を得。 其の民を得るに道有り。
其の心を得れば、斯ち民を得。 其の心を得るに道有り。
欲する所をば之が與に之を聚め、
惡みんずる所をば施すこと勿からまくのみ。
{意解}
孟子がおっしゃった。
『暴君の夏の桀王・殷の紂王が天下を失ったのは、人民を失ったからである。
人民を失ったとは、人民の心を失ったということである。
天下を手に入れるには正しい道(方法)がある。
人民を手に入れれば、天下を手中にすることができる。
人民を手に入れるには正しい道(方法)がある。
人民の心を手に入れれば、人民を得ることができる。
人民の心を手に入れるには道がある。
人民の欲しがるものを集めてあげ、
人民の嫌うものを与えないようにすることである。
内憂外患という言葉がある。国を滅ぼし組織を瓦解させるのは、
この二つの原因であるが、せんじつめれば、 外患(外国や外部からの問題)も
また内憂(国や組織などの心配事)によって招来されることが多い。
弱肉強食の論理が優先される戦国時代に、 軍事力による覇道政治を戒めて、
道徳による王道政治の理想を説いたのが 儒学の大家である孟子で、
孟子と戦国諸侯の含蓄のある対話や、 孟子と高弟たちの言行・思想を集積して
編纂したのが「孟子」の離婁章句である。
荀子 王制篇第九に「君は船なり、庶民は水なり」とある。
舟が水しだいで安定もし転覆もするように、君主の座も
人民の出方次第で安定もし転覆もする。ゆえに、
君主が自らの地位を安泰にするためには、何よりもまず
人民の信頼を得るように努めなければならないと云う。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。
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