知の難きに非ず、知に処するは則ち難し|韓非子 説難第一二|
第四章 着実に生きる
知の難きに非ず、知に処するは則ち難し
ー非知之難也、処知則難也ー 韓非子 説難第一二
(韓非子:二十巻五十五編。戦国時代の韓非の選。先秦時代の法家の学を集大成し、それに韓非の考えを加えたもの。はじめは「韓子」と称したが、宋以降、唐の韓愈と区別するため、「非」の字を加えた。)
{書き下し文}
宋に富人あり。天雨ふり牆壊る。
其の子曰はく、
「築かざれば、必ず将に盗有らんとす。」と。
其の隣人の父も亦云ふ。
暮れて果して大いに其の財を亡ふ。
其の家甚だ其の子を智とし、而るに隣人の父を疑ふ。
此の二人は、説は皆当たる。
厚き者は戮され、薄き者は疑はる。
則ち知の難きに非ず、知を処するは則ち難きなり。