
山を為ること九仞、功を一簣に虧く
第六章
山を為ること九仞、功を一簣に虧く
ー為山九仞、功虧一簣ー 書経 旅獒
(書経:二十巻。「尚書」のこと。五経の一つ。堯、舜の伝説時代から夏、殷を経て、周代に至る間の政治に関する記録。初めは単に「書」といったが、宋代になって「書経」と呼ばれるようになった。)
{原文}
嗚呼、夙夜罔或不勤。
不矜細行、終累大德。
為山九仞、功虧一簣。
{書き下し文}
嗚呼、夙夜勤めざる或る罔かれ。
細行を矜まざれば、終に大徳を累わす。
山を為ること九仞、功を一簣に虧く。
*夙夜:朝早くから夜遅くまで

山を為ること九仞、功を一簣に虧く
{意解}
周の武王が殷の紂王を討ち、周王朝を興すと、
周辺の国々は挙って周王朝に服した。
西方の旅国からも、
獒という人の意を解する珍獣が献上されてきた。
この贈り物をみて、おおいに喜ぶ武王をみて、
召公という重臣が、珍奇なものに心を奪われて、
せっかくの周王朝の創業を危うくしてはならない、
と諌めたということばが、この「書経 旅獒」に記されている。
「嗚呼、夙夜勤めざる或る罔かれ。
細行を矜まざれば、終に大徳を累わす。
山を為ること九仞、功を一簣に虧く。」
王者たるものは、朝早くから夜遅くまで、
つねに徳にはげまねばならない。
些細な事だといって気をゆるめると、
ついには大きな徳をも傷つけ失うことになる。
せっかくの周王朝創業のための功績が、
たった一つの事に心奪われるという行いによって、
無になってしまうことを喩えて、
「山を為ること九仞、功を一簣に虧く」
と諌めている。
備考:
「仞|じん」 一仞は八尺、約2.4m
「簣|き」 土を運ぶ籠
「虧|か」 欠ける
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。