第六章 成功の心得
小忍ばざれば則ち大謀を亂る
ー小不忍、則亂大謀ー 論語 衛霊公第十五
(論語:十巻二十編。孔子や孔子の門弟の言行を記したもの。
儒家の聖典とされている。四書の一つ。)
{原文}
子曰、
巧言亂徳、
小不忍、
則亂大謀。
{書き下し文}
子曰わく、
巧言は徳を亂る。
小忍ばざれば、
則ち大謀を亂る。
*巧言:巧みに言い回した言葉。口先だけでうまく言うこと。
*大謀:大きなはかりごと。大きい事をしようとする計画。
{意解}
口先だけの言葉は徳を損ねる。
些細な事が我慢できなければ、
大きな事を成し遂げる事はできない。
小さな我慢が出来ないようでは大きな仕事を仕損じる。
大きな目標の前には、ならぬ堪忍もしなければならないということだ。
「成らぬ堪忍するが堪忍」のよい例として引き合いに出されるのが、
韓信(国士無双|史記)の故事である。
韓信は高祖劉邦に仕えた将軍だが、
若い頃は定職にもつかずにぶらぶらしていた。
そんなある日、ふだんから韓信をバカにしていた与太者が因縁をつけてきた。
「おい、でかい図体に剣をぶらさげやがって、格好だけは一人前だが、
肝っ玉のほうはからきしだろう」人だかりがしてくると、与太者は図に乗り、
「おい、度胸があるならおれを刺してみろ。それが怖けりゃ、股をくぐれ」と
挑発する。しかし、韓信は黙って与太者の股をくぐったという。
韓信の能力をもってすれば、そんな与太者の二人や三人、とりおさえるのは
わけもなかったにちがいない。だが、こんな小事にかかわってもつまらない、
大事の前の小事と思い直し、あえて股をくぐったという。
史記 准陰候列伝の「敗軍の将は以て勇を言うべからず」に
韓信の「井陘の戦い」を記載しています。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。