
人道は盈を悪みて謙を好む
第八章
人道は盈を悪みて謙を好む
ー人道悪盈而好謙ー 易経 艮下坤上 地山謙
【易経:「易」または「周易」ともいう。五経の一つ。
卜筮(ぼくぜい)の法によって、倫理道徳を説いたもの。
上下の「経」と、その注釈篇である。
「十翼」からなり、十翼は孔子の編と伝えられている】
原文:
天道虧盈而益謙、
地道變盈而流謙。
鬼神害盈而福謙、
人道惡盈而好謙。
書き下し文:
天道は盈を虧きて謙に益し、
地道は盈を変じて謙に流き、
鬼神は盈を害して謙に福し、
人道は盈を悪みて謙を好む。

人道は盈を悪みて謙を好む
意解:
「盈」のもとの意味は「満つる」で、満ち足りた状態、上りつめた状態をいう。
ここでの「盈」は更にそれから派生して驕慢とか傲慢という意味で使われている。
「謙」は、謙虚、謙遜といった意味。
したがってこの言葉は、「驕慢を憎んで謙虚を好むのが人の道だ」となる。
「謙を好む」のは人の道だけではないらしい。
「易経」はこう語っている。
「天道は盈を虧きて謙に益し、地道は盈を変じて謙に流き、
鬼神は盈を害して謙に福す」
また、こうも語っている。
「謙虚な心はおのずと言動に現れる。この心を失うことがなければ、吉」
「すべてに謙虚な心で処するならば、法度にたがうことなく、万事順調である」
まさに、「謙」なる者は幸いなるかなだ。
世に処するにはすべからく「謙」を旨としたいものだが、
とくに人の上に立つ者ほど、これを忘れてはならない。
*「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。