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善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず|孫子 勢篇|

善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず 第八章 リーダーの心得
善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず

第八章 リーダーの心得

 

たたかものはこれをせいもとめてひともとめず

ー善戦者求之於勢不責於人ー  孫子 勢篇
【孫子:一巻。春秋末期の呉の孫武の撰した兵法書】




原文:

善戰者、求之於勢、不責於人
故能擇人而任勢。
任勢者、其戰人也、如轉木石、
木石之性、安則靜、
危則動、方則止、円則行。
故善戰人之勢、
如轉円石於千仞之山者、勢也。




書き下し文:

ゆえたたかものはこれをせいもとめてひともとめず。
ゆえによく人をえらびてせいにんず。
せいにんずる者は、その人をたたかわしむるや、木石ぼくせきてんずるがごとし。
木石ぼくせきせいは、あんなればすなわせいに、
なればすなわち動き、ほうなればすなわちとどまり、
えんなればすなわちく。
ゆえにく人を戦わしむるのいきおい
円石えんせき千仞せんじんの山に転ずるがごときは、せいなり。

参考資料:WEB漢文大系、孫子 勢篇

善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず

善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず




意解:

せいもとめてひともとめず」とは、
一人ひとりの能力や働きに過度の期待をかけないで、
組織全体の勢いのほうを重視するということ。
戦の巧みな者は、そういう戦い方をするのだという。

「孫子」はこう語っている、
「勢いに乗れば、兵士は坂道を転がる丸太や石のように、
思いがけない力を発揮する。丸太や石は、平坦な場所では静止しているが、
坂道におけば自然に動き出す。また、四角なものは静止しているが、
丸いものは転がる。勢いに乗って戦うとは、
丸い石を千仞せんじんの谷底に転げ落とすようなものだ」と言う。

今、どこの企業でも、社員研修が盛んに行われている。
たしかに組織の生き残りをはかるには、
社員一人ひとりのレベルアップをはからなければならない。だが、
それにもまして望まれるのは、組織としての勢いをどう作り出すかだ。
勢いに乗れば、一の力が二にも三にもなって発揮される。
このような勢いを作り出すのも、リーダーの職責であろう。

史記 李斯伝 第二十七に「泰山は土壌を譲らず、故によくその大を成す」がある。
太山(泰山たいざん)はひとかけらの土壌をも譲らないからこそ、
あれだけ大きな山になったのであり、
河海かかいはいかなる細流をも受け容れるからこそ、
あれだけ深い流れになったのであり、
王者は衆庶しゅうしょ退しりぞけないからこそ、
その徳を天下に明らかにすることができる。と云う。

他国の出身であれ、積極的に人材を受け入れてこそ、
国を強大にすることができるのだという趣旨しゅしである。
「政をなすの要は、ただ人を得るに在り」である。
現代でも企業経営において人種・国籍・性・年齢は問わず
広く優秀な人材を採用して、企業の成長を図る
ダイバーシティ」の企業も増えている。

*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。