
下の上に事うるや、その令する所に従わずして、その行う所に従う
第八章
下の上に事うるや、その令する所に従わずして、
その行う所に従う
ー下之事上也、下従其所令而従其所行ー 礼記 緇衣
【礼記:四十四篇。周末秦漢時代の礼に関する理論及び実際を記録編集したもの。
前漢の戴聖によって伝えられた。「小戴礼」又は「戴記」といわれる。五経の一つ】
原文:
下之事上也、不從其所令、
從其所行。
上好是物、下必有甚者矣。
故上之所好惡、不可不慎也、
是民之表也。
書き下し文:
下の上に事うるや、その令する所に従わずして、
その行う所に従う。
上の好是物、下必ず有甚し。
故に上の好悪する所は、慎まざるべからず、
これ民の表れ也。

下の上に事うるや、その令する所に従わずして、その行う所に従う
意解:
部下というのは、上の者の命令に従うよりは、
上の者のやっていることを見習うものだという。
つまりは、上に立つ者は、みずからの嗜好や行動には
くれぐれも慎重であれ、と語っている言葉である。
「韓非子」にこんな話がある。
むかし、斉の桓公が好んで紫の衣服を愛用したところ、
国中の者がそれを真似て、紫の生地の値段が白絹の五倍にもはねあがった。
桓公は、宰相の管仲を呼んで相談した結果、彼の進言を入れて、
その日から紫の衣服の使用をやめ、
同じような衣服をつけている臣下が伺候してくるたびに
「わしはその紫の匂いが嫌いでな」と言って鼻をつまんだ。
すると三日もしないうちに、国中から紫の衣が姿を消したという。
これは、たんなるおとぎ話ではない。
現代でも似たようなケースはいくらでも起こっている。
だから「礼記」も、表題の言葉を引いたあとで、
「故に上の好悪する所は、慎まざるべからず」とダメ押しをしている。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。