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良賈りょうこふかぞうしてむなしきがごと

 

ー良賈深蔵若虚ー    史記 卷六十三 老子韓非列傳 第三
(史記:百三十巻。前漢の司馬遷が撰した、中国最初の通史です。
上古の黄帝から、漢の武帝までの歴史を紀伝体で記しています。)

 

{原文}
良賈深蔵若虚、
君子盛德容貌若愚。

 

{書き下し文}
良賈りょうこふかぞうしてむなしきがごとく、
君子は盛徳せいとくありて容貌ようぼうなるがごとし。

盛徳せいとく:りっぱな徳。有能な人間

 

 

{意解}
これは孔子が若い時に、

老子のもとを訪ねて教えを受けたことがあった。
そのときの老子はこの一句を引いてこう語ったという。
「ほんとうに賢い商人は、良い商品を持っていても、
店頭に並べるようなことはしない、奥深くしまっておくものだ。 
そなたは自分の能力をひけらかし、欲望やヤル気を表に出しすぎる。
そんなことは無益のことじゃ。やめなさるがよい。」  

 すばらしい能力に恵まれても、 それをわざとらしく見せびらかしたり、
ひけらかしたりすれば、 周囲の反発を買って、ろくな結果にならない。
真に有能な人間(君子)ほど慎み深く、
一見愚か者かと思うような顔つきをしている 。 

能力は奥深くしまっておくことによって、
かえって人間としての深い味わいが出てくる、とさとす。
良賈りょうこふかぞうしてむなしきがごとし」とは、
それを語った言葉に他ならない。  

 孔子は自らの思想を国政の場で実践することを望んだが、
ほとんどその機会に恵まれなかった。
孔子の唱える、体制への批判を主とする意見は、
支配者が交代する度に聞き入れられなくなり、
晩年はその都度失望して支配者の元を去ることを繰り返した。

 それどころか、孔子の思想通り、
最愛の弟子の顔回がんかい赤貧せきひんつらぬいて死に、

理解者である弟子の子路しろ謀反むほんの際に主君を守って惨殺ざんさつされ、
すっかり失望した孔子は不遇ふぐう末路まつろを迎えている。
この老子の言葉から思うが、
老子は孔子の行くすえが見えていたのかもしれない。

良賈りょうこ:よい商人のこと

 

*「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

 

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沈琳 二胡 女人花

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