
伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し
第五章
伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し
ー伏久者飛必高ー 菜根譚 後集76
(菜根譚:二巻。明の洪自誠の編。前集では人との交わり、
事の治、変に対応する道を説き、後集では退静閑居の楽しみを論じている)
{原文}
伏久者、飛必高、
開先者、謝独早。
知此、可以免蹭蹬之憂、
可以消躁急之念。
{書き下し文}
伏すこと久しき者、飛ぶこと必ず高く、
開くこと先なる者は、謝ること独り早し。
此れを知らば、以て蹭蹬の憂いを免るべく、
以て躁急の念を消すべし。

伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し
{意解}
「長いあいだうずくまって力を蓄えていた鳥は、
一旦飛び立てば、必ず高く舞い上がる。
他に先駆けて咲いた花は、散るのもまた早い。
この道理さえわきまえていれば、
人生の途中で疲れ果て勢いを失う心配からは免れることができ、
成功を急ぐ心は消えうせる」
努力をしても人事を尽くしても、
上手く行かない、報われないというのもよくある事である。
しかし、思えば、何の悩みも苦労も体験していなければ、
幸福であることを感じる度合いも少ないのでは・・・と。
問題は、その時期をどう過ごすかだ。
もっともまずいのは、そんな向かい風が吹いている時に、
焦ってバタバタ動き回ることだ。
そんなことをやっていたのでは、疲れてしまって冷静さも失うもの。
ピンチの時こそチャンスだという。
逆境の時こそ、
意識改革を考え、知力、体力を養う好機である。
焦らず騒がずじっくりと力を蓄えながら、
「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し」と、自分を信じ、
静かに追い風の時を、待ちたい。
「大いなる器ほど完成が遅い」(老子)。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。