前車の覆るは後車の戒め|前車覆、後車誡|漢書 賈誼伝|

第二章 自己を高める

前車の覆るは後車の戒め
前車の覆るは後車の戒め

 

第二章 自己を高める

 


前車ぜんしゃくつがえるは後車こうしゃいまし

ー前車覆、後車誡ー   漢書 賈誼伝
(漢書:百二十巻。前漢の歴史を記録した正史。後漢の班彪と、その子班固、班昭の撰。)

{原文}

前車覆、
後車誡。

{書き下し文}

前車ぜんしゃくつがえるは
後車こうしゃいましめ。

前車の覆るは後車の戒め
前車の覆るは後車の戒め


{意解}

 
前人の失敗は記憶に新しいだけにこれに勝る教訓はない。
漢代の学者、賈誼かぎが文帝に献上した文章に

鄙諺ひげんいわく」としてこの一文が引用されている。  

 意味は明瞭めいりょうで、前車がくつがえるを見たら、その二の舞をしないように
気をつけなさいということだ。 ここでの「前車」は、漢代の前の秦である。
しん始皇帝しこうていの強権政治が破綻はたんしてわずかに二代で滅びる。 この秦の失政に学び、
漢の文帝は、自ら節倹せつけんむねとして 政治に当たり、結果、
名君とうたわれて素晴らしい実績を上げる。

同様に、唐の太宗が名君と称されるのもすぐ前の随の煬帝の失敗を
後事の師として同じ失敗を繰り返さないように 心に戒め、
政治に取り組んだからだともいわれる。

自分や周りの出来事の失敗を教訓に自分を磨けと教えてくれている。

戦国策にも「前事忘れざるは後事の師」とある。
この「前事」とは 自分の体験や歴史をひも解き知り得た経験の意味が含まれる。
とくに、失敗の経験に学ぶ事が重要で同じ失敗を二度三度繰り返すことは、
賢明ではない。
思い出したくない苦い経験であればあるほど
肝に銘じておくべきである。
己に落とし込み、磨かれてこそ知識も実践で役立ち、
人も本物になると思われる。  

 失敗を繰り返さなければ、進歩も期待できる。

*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。