むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ|寧為鶏口、無為牛後|史記|

第一章 大きく生きる

第一章 大きく生きる

 

むしろ鶏口けいこうとなるも牛後ぎゅうごとなるなかれ

ー寧為鶏口、無為牛後ー     史記 蘇秦伝
(史記:百三十巻。前漢の司馬遷が撰した、中国最初の通史です。
上古の黄帝から、漢の武帝までの歴史を紀伝体で記されています。)

{書き下し文}

秦人諸侯を恐喝きょうかつして、地を割かんことを求む。
洛陽の人蘇秦そしんといふもの有り。
秦の恵王に游説ゆうぜいして、もちいられず。
すなわきて燕の文侯に説き、趙と従親しょうしんせしめんとす。
これして、もって趙にいたらしむ。
粛侯しゅくこうきてはく、
「諸侯のそつ、秦に十倍す。
力をあはせて西に向かはば、秦必ず破れん。
大王のためはかるに、
六国従親しょうしんして以て秦をしりぞくるにくはし。」と
粛侯しゅくこうすなわち之に資し、以て諸侯を約せしむ。
蘇秦鄙諺ひげんを以て諸侯に説きて曰はく、
むし鶏口けいこうるも、牛後ぎゅうごる無かれ」と。
ここいて、六国従合しょうごうす。

蘇秦そしん:中国戦国時代の弁論家
従親しょうしん:南北に親密な関係を結ぶ
鄙諺ひげん:身近なことわざ

むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ