人に接しては則ち渾てこれ一団の和気|接人渾是一団和気|近思録|

第七章 人と接するための心得

人に接しては則ち渾てこれ一団の和気
人に接しては則ち渾てこれ一団の和気

第七章 人と接するための心得

 

ひとせつしてはすなわすべてこれ一団いちだん和気わき

ー接人渾是一団和気ー  近思録
【近思録:十四巻。宋の朱熹・呂祖謙の共著。宋の学者、周廉渓・程明道・程伊川の著書や語録の中から六百二十二条を選んだ、初学者用のテキスト】




原文:

接人渾是一団和気




書き下し文:

ひとせつしてはすなわすべてこれ一団いちだん和気わき

人に接しては則ち渾てこれ一団の和気
人に接しては則ち渾てこれ一団の和気




意解:

一見して冷たさを感じさせる人物とか、
トゲトゲしい雰囲気を持った人物のもとには、人は集まってこない。
人に好かれるのは、親しみやすく、なごやかな雰囲気をまとい、
暖かさを感じさせる人物である。
それがここで言っている「和気」である。
「和気」もまた人間関係を円滑にする重要な条件である。

しかし、いくら「和気」が必要だからといって、
取ってつけたような、上辺うわべだけのものでは、かえって逆効果だ。
そんなものは、簡単に感じ取られ、見破られてしまう。
ほしいのは、内面からにじみ出てくる「和気」である。

「菜根譚|前集ー163」にも、同様な一節がある。
原文:
念頭寛厚的、
如春風煦育、
万物遭之而生。
念頭忌刻的、
如朔雪陰凝、
万物遭之而死。

書き下し文:
念頭ねんとう寛厚かんこうなるは、
春風しゅんぷう煦育くいくするがごとし、
万物ばんぶつこれにいて生ず。
念頭ねんとう忌刻きこくなるは、
朔雪さくゆき陰凝いんぎょうするが如し、
万物ばんぶつこれにいて死す。

意解:
心が広く温厚おんこうな人は、
春風が恵みをかけて暖かく育てるように、
万物がそのおかげで成長する。
心が嫉妬深しっとぶか薄情はくじょうな人は、
北国の雪がこおらせるように、
万物がそのためにれて死する。 と。

心の温かさ、そしてそこからにじみ出てくる「和気」、
これが必要なのである。

菜根譚 前集 47項に
吉人は、 すなわち夢寐神魂も、 和気にあらざるはなし」とあり、
徳のある立派な人物は日常の生活が安らかで静かで、眠っている間の魂も
いうまでもなく、和やかである。
凶暴な人は日常の行為があくどいことはいうまでもなく、
たとえその声音や笑い声までもが人の心を逆なでする。そして、
類は友を呼び、「吉人」は幸せな人、心穏やかな人を呼び、
「凶人」には性格が悪く、殺気だった悪どい人間があつまるのだという。

*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。

私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。