第八章
諍臣は必ずその漸を諫む
ー諍臣必諫其漸ー 貞観政要 卷二 論求諫 貞觀十七年
【貞観政要:じょうかんせいよう|十巻。唐の呉兢の著。
唐の太宗と重臣とが政治に関して論じたものを、四十門に分けて類編した書】
原文:
諍臣必諌其漸、
及其滿盈、無所復諫。
書き下し文:
諍臣は必ずその漸を諫む。
其の満盈に及びては、復た諌むる所無し。
意解:
唐の褚遂良という重臣が太宗に語った言葉である。
「諍臣」とは、トップに過失があったとき、敢然として諌める臣下を云う。
しかし、そういう諍臣でも、諌めるときは、「漸」すなわち兆しの段階で諌めるのだという。なぜなら、末期症状を呈するようになっては、どんなに諌めても、もはや手遅れだからである。
たしかに、手の施しようがなくなってから強意見しても、なんの効果もない。「漸」のうちにしてこそ意味があるのだ。無駄なことはお互いやめたほうがよいのかもしれない。
昔も今も、諫言を嫌うトップが多い。そうなると部下のほうも、トップの鼻息ばかり伺って、あえて諫言などしなくなる。これでは、仮にトップが誤った方向に突っ走った場合、
全く歯止めがかからない。
書経 説命上に「木は縄に従えば則ち正しく、后は諌めに従えば則ち聖なり」ともある。大工さんが墨縄に従って製材すれば真っ直ぐな材木がとれる。それと同じように、君主も臣下の諫言に耳を傾ければ立派なトップになることができるというもの。トップには「諍臣」の必要なことを語った言葉である。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。