第五章
已むべからざるに於いて已むる者は、
已まざる所なし
ー於不可已而已者、無所不已ー 孟子 盡心章句上 四十四
(孟子:七篇。戦国中期の儒家孟軻の言行や学説を編集したもの。
性善説・四端説・天命説・王道説・仁義は有名。四書の一つ)
{原文}
孟子曰、
於不可已而已者、
無所不已。
於所厚者薄、
無所不薄也。
其進鋭者其退速。
{書き下し文}
孟子曰く、
已むべからざるに於いて已むる者は、
已まざる所なし。
厚くすべき者に於いて薄くするは、
薄くせざる所なし。
其の進むこと鋭き者は其の退くこと速やかなり。
{意解}
やめてはならない所でやめる人間は、何をやっても中途半端なことしかできない。念を入れてやらなければならない時に手を抜く人間は、何をやってもいい加減なことしかできない。性急に進む者は、やめるのも速い。と「孟子」は語っている。
人生には、何度か正念場がある。ここで踏ん張らなければ、せっかく今まで築いてきたものを失ってしまうとか、あるいは、そこを乗り切らなければ、新しい展望が開けないとか、そういった時である。「孟子」のいう「止むべからざる」ところとは、それを言う。
ここを突破すると、それが大きな自信につながり、人間的にも一回り大きく成長することができよう。それができるかどうかは意志力の問題である。日頃から、強い意志を鍛えておくべきだろう。
n菜根譚 後集76に「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し」とある。努力をしても人事を尽くしても、上手く行かない、報われないというのもよくある事である。しかし、思えば、何の悩みも苦労も体験していなければ、幸福であることを感じる度合いも少ないのでは・・・と。問題は、その時期をどう過ごすかだ。ピンチの時こそチャンスだという。
逆境の時こそ、意識改革を考え、知力、体力を養う好機である。焦らず騒がずじっくりと力を蓄えながら、
「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し」と、自分を信じ、静かに追い風の時を、待ちたい。
*参考資料:「中国古典一日一言」守屋洋(著)をもとに、
自分なりに追記や解釈して掲載しています。
私たちは、日々、何をするにしても
大なり小なり、決断(選択)をしている
その折々に思い出し、
より善い選択(決断)ができるように
貴方も私も 在りたいですね。